脳出血と錐体路

被殻出血はレンズ核線条体動脈という穿通枝の微小動脈瘤が破裂が原因で,その重症度評価にはCT分類があります.

被殻出血CT分類

I 出血が被殻に限局

II 出血が内包前脚に進展

III 出血が内包後脚に進展

IV 出血が内包前脚と後脚に進展

V 出血が視床あるいは視床下核に進展

となっており,内包を中心に分類されています.

.....どうしてCT分類は内胞を中心に考えるのでしょうか?

脳出血の予後には麻痺の程度が重要で

麻痺の責任病巣は錐体路

錐体路は内胞後脚をとおる

からです.

もう少し詳しくみてみます.

錐体路は2つあります.

①皮質脊髄路 四肢の運動をつかさどる

②皮質延髄路 首から上の筋肉を動かす

片麻痺の責任病巣は錐体路です.

簡単に復習すると...

 中心前回(大脳皮質)

 放状冠(大脳白質)

 内胞後脚

 大脳脚(中脳)

 内側毛帯(橋)

 錐体(延髄)

です.

 次にMRIで脳表面を再構成し,3D画像で観察すると脳溝や脳回がよく理解できます.

錐体路の出発点である中心前回は中心溝の前にある脳溝で.

①その他の脳溝と交わらない

②正中までつづく

③正中近くで、後方に突出した構造

が特徴です.

 この③の構造は重要で,ドアの取手(ドアノブ)やギリシア文字のΩ(オメガ)のようにみえることから,Knob signとかPrecentral knobあるいはInvert Ω signと呼ばれます.この部分には,手や上肢の運動機能をつかさどる神経細胞が局在します.2足歩行に進化するに従い,手の機能が発達することで,本来まっすぐに並んでいた神経細胞が行き場を失い,後ろにでてしまった!と理解するとおもしろいです.

 一方,下肢の運動機能をつかさどる神経細胞は大脳半球の内側面に存在します.中心前回で脳を冠状断にみた模式図をみてください.上肢の運動機能は大脳半球の表面に,下肢の運動機能は内側面にあります.これらの神経細胞からつづく錐体路は放状冠のあたりで交叉します.このため,錐体路が内胞後脚をとおるとき,下肢は外側・上肢は内側に分布します.本来,錐体交叉は延髄レベルでの左右の錐体路の交叉を定義した言葉ですが,実は上下肢の錐体路も交叉すると覚えましょう!上下肢錐体交叉は左右あるので,延髄錐体交叉とあわせて,3個あることになります.

 さて被殻出血のCT分類をみてみると,IIとIIIの違いは内胞前脚と内胞後脚です.当然,麻痺が強いのは後脚なので,IIIが内胞後脚になることが理解できます.IVはどうでしょうか?内胞前脚と後脚両方に進展すれば,血腫はさらに大きくなるのでより重症となることもります.

 さらに被殻出血では内胞後脚を外側から圧迫するため,出血量が少ない場合,上肢と下肢の麻痺レベルを比較すると,下肢の方が強くなります.

逆に視床出血ではどうでしょうか?そう,上肢の麻痺が強くなります.

 脳出血=片麻痺という発想はすてて,出血の場所に応じて上肢と下肢の麻痺レベルも観察できる.神経という神様のデザインを実践的解剖で理解できる.....私たちの目標のひとつです.

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